9.4 全体を繰り返す学習法(分散学習)で暗記効率が30%アップ
更新日 2021年5月23日
集中学習より分散学習の方が効率が良い
UCLA大学でこんな実験が行われました。
大学生が20個の英単語の類語のペアを、二通りのやり方で覚え、どちらが正解率が高かったかを検証する。
覚えた方は以下の二つです。
①集中学習
・1~4日目:5個ずつ集中して覚える
・5日目 :総復習
②分散学習
・1~4日目:毎日ざっくり20個覚える
・5日目 :総復習
勉強時間は①も②も同じです。
どちらの覚え方が正解率が高いと思いますか?
結果としては、②の分散学習の方が、①の集中学習より30%以上も正解率が高かったのです。
これだけの差が出たら、覚え方を工夫しようと思いませんか?
分散学習の方が正解率が高いのは、記憶の定着のポイントが『時間を空けて何度も繰り返すこと』だからです。
忘却曲線の論文でも、1日に何度も繰り返すより、覚えてから時間を空けて忘れたころに再び覚えることが、定着のポイントと言われています。
直観的には集中学習がいいと思ってしまう
同じUCLA大学の論文で実験されたことですが、テスト前に「どれぐらい正解できると思いますか?」と聞くと、①の集中学習で覚えた方が正解できると思い込んでいたのです。
<学生による事前の予想>
①集中学習で覚えた学生は50%正解と予想
②分散学習で覚えた学生は43%正解と予想
<実際のテスト結果>
①集中学習で覚えた学生は34%正解した
②分散学習で覚えた学生は65%正解した
これは非常に恐ろしいことだと思いませんか?
つまりこの実験を知らない受験生は、効率の悪い集中学習を選ぶ人が多いということです。
一生懸命勉強するだけでなく、正しい勉強方法を知ることがいかに大事か、分かって頂けたと思います。
初学時は集中学習、その後は分散学習
実験から、分散学習の方が効率の良いという示唆が出ました。
ただこの実験は覚える英単語が20個と少なかったこと、また単純暗記だったこともあり、全ての教科で分散学習がいいかは分かりません。
数千語の英単語を覚える場合、また数学などの理解を伴う教科については、初学時にはある程度範囲を絞って集中学習で覚え、理解度を上げ、その後の定着時には分散学習で覚えた方がいいかもしれません。
英単語帳を覚えるのであれば、初学時は1日50~100語程度に絞ってていねいに覚えて、その後は英単語帳全体を何度も繰り返して覚えることをオススメします。
⇒<8.3 英単語の覚え方>
本コラムのまとめ
- 細かく区切って覚える集中学習より、全体を何度も繰り返す分散学習の方が暗記の効率が良い。
- それにも関わらず、直観的には集中学習がいいと思ってしまう人が多い。
- 大量の暗記モノをするときや、数学などの理解を伴う教科は、初学時は集中学習、その後の定着時には分散学習がオススメ。